優しくしている訳では無い
憐れんでいるのだ
弱り逝く老人に
まだ幼き心を持つ私は
あの頃の父の姿のままだと感じている
だが明らかに弱って行く姿を見て
微笑み、哀れみ、愉快痛快と
目を見開いて観察している
鬼の様な形相だった父が
仏の様な顔に変わっている
これが老いると言う事か
だが私の心は幼きまま
記憶は鬼の様な父のまま
だから油断は出来ない
隙を見せてはいけない
最後を見送るまでは
憐れんで楽しもう
そして最後が来た時
ようやく私の心は解き放たれるのだ
解放されるのだ
恐怖から
怒りから
憎しみから
苦しみから
全てから
蛇の道は終わる
老いぼれの死を持って
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