飽くなき日々
私には無縁な事柄
只怠惰し
書物を読むもせず
食らっては寝て喰らっては寝て
何かを成し遂げようと
努力した日々もあった
だが無意味だと知る
何も無しえなかった
無駄だと悟った
隣に転がる石ころは
宝石の様に輝きを放っている
恨めしい
羨ましい
私は只の石ころだ
日々を彩り
虹を空に架け
人生を豊かに色付けている
そんな者達
私とは無縁だ
私の空は常に灰色で
雲に覆われ小雨が降っている
月も星も見えない
何時からだろうか
思案してみる
幼子の頃アイスクリームを落とし
何も出来ずに泣いた夏の日か
否
成熟して恋に目覚め
想いが届かず泣いた夏の日か
否
疲労が溜り病に倒れ
明日の希望が薄れた夏の日か
否
どれも違う
気付けば怠惰していた
覚えているのは夏からだった事だけ
すくいあげられる金魚になりたくて
夏祭りに必ず金魚すくいをした
私も救い出しておくれよと
あゝ再び夏が来る
今ここに綴ろう
私は輝きを欲している
再び飽くなき日々を過ごせる輝きを
あゝ夏が来る
誰かが救い上げてくれるのを待つ
愚かな金魚だと
だが水に濡れればすぐに破れる
薄い紙切れ
私の心は重苦し過ぎて
きっと一度で破れてしまうだろう
上手い事すくいあげられた者は
今宝石の様に輝いているのだ
ビニールプールの中で泳ぐ
無数の金魚達
その大勢の中で
私も彷徨い泳いでいる
怠惰の中を
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