透明にも近い澄んだ水の色は、微かに水色をしていた
その色はとても美しく
とても透き通り
あの人の髪の色と同じ色をしていた
あの人の髪の色も又、澄んだ透明の様な色だが
微かに水色をしていた
とても美しく
とても儚げで
触れれば消えてしまいそうな程だった
何故あんなにも透き通った水色の髪をしていたのだろうか
それはあの人が人ではなかったからだろうか
それはあの人自体が、水から産まれて来たのか・・・又は水で出来ていたからだろうか
髪の色と同じ色の湖の中に佇む姿は
とても儚げで
とても切なく
触れれば壊れてしまいそうだった
もう一目会いたい
そう願い再び訪れた、名も無き湖
だがそこにあの人の姿は無かった・・・
厭きれるくらい通った
名も無き湖に
幾度となく季節を越え
幾度となく月日を越え
呆れる程に通った
それでも今一度会えないと言う事は、やはりあの時見たモノは幻だったのだろうか
それとも自身が求め、生み出した理想の幻覚だったのだろうか
だが確かにこの目に焼き付いている
透き通る様な水色の髪のあの人は
こちらを見て微笑んだのだ
まるでこの世を去る前に
誰かに会えた事が嬉しかったかの如く
それ程までにあの人の笑顔は・・・
瞳はとても穏やかだった
ならばあの人の最後を看取ったのは、自分だと言うことになるのだろうか
何とも皮肉で悲しいのだろう
水色の髪をしたあの人は、最後に自分に看取られ安らかに逝けたが
自分が始めてあの人に会った時は、あの人が絶つ時だったのだから・・・
願えど願えど
再び会える日等来ないと言う事だ
待てども待てども・・・
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